高齢犬のトリミングについて

最近「高齢の為今まで行っていた店で断られて・・・」っとお電話いただくことが増えました

良いフード・良いお薬・生活環境・飼い主さんの愛犬への健康意識の向上など色々な理由で
いまやワンちゃんも平均寿命も伸びています
昔は10歳といえば[お年寄りでヨボヨボ]なイメージでしたが
最近は10歳でも元気ハツラツな子も多いですね(^▽^)

お店にもよりますが「高齢犬なので これ以上無理です」と断られることがあります
大型店などではマニュアルで[○○歳以上は断る]っと決まってる事もあります
「なんで?!」とお思いの飼い主さんもいらっしゃると思いますが

まず
10歳を過ぎると“何があってもおかしくない年齢”であること
《美容にはワンちゃんの体力が必要》であること  をご理解ください
(1回の美容=海水浴に行って1日中遊ぶ だとも言われています)

困った時にホビーハウスを頼ってくださるのはとても嬉しいんですが
例えば[初めてのワンちゃん12歳以上]はホビーハウスでもちょっと難しくなってきますm(_ _)m
[昔来ていただいていた場合でも
10歳以上で1年以上会っていないワンちゃん]は同じように難しいですね

人間の感覚的にはたった1年ですが ワンちゃんの年齢で換算すると4年位なんです
12歳→(人間の)64歳 13歳→(人間の)68歳 14歳→(人間の)72歳 15歳→(人間の)76歳 16歳→(人間の)80歳
になるワケです この4歳分の老いは結構なモノです

例えば:[14歳の子 半年ぶりのシャンプー&カットお願いします(^▽^)]は
    [2年ぶりに会った72歳のご老体を1日中外出して連れ回して遊んでください(本人が嫌がっても)]
になります 結構な感じでしょ・・・

もちろん長年定期的に(2・3ヶ月に1回位)美容に来てくれているワンちゃんは10歳でも15歳でも
特に問題はありません
老いていく過程を私達トリマーが見ているからです
“疲れやすくなった”“我慢できる時間が短くなった”
“途中で休憩を入れた方がいい”“声をかけながら作業したら安心するみたい”
など ワンちゃんの体力や気力や性格を探り探り美容しています

ですがトリマーとしても高齢の初めてまたは久しぶりに会うワンちゃんは
あまりにも未知数なのでお手上げになってしまいます(T△T)

そうなる前に(8・9歳位で)
今行っているお店にやんわりと(←ここ大事)
「この子高齢になっても美容できる?」っと確認しておいた方がいいカモです
もし「うちでは10歳でお断りしてます」と言われたとしても
8・9歳位なら他のお店に相談できます!
それ位の年齢なら新規さんでも受けてもらえる確立がグンっと上がります

そして高齢で被毛があんまり伸びなくなったからといって
トリミングを疎かにしない事もオススメします
被毛は伸びていなくても皮膚に汚れは溜まります
取り除くのに時間がかかってしまうと高齢犬には体力的に辛くなります・・・
トリミングの期間を空けた分の負担を1番背負うのはワンちゃんです
ワンちゃんの為にも またトリマーに健康状態・老いの状態を把握してもらっておく為にも
最低でも春・夏・秋・冬の1シーズンに1回位は顔を見せるつもりでトリミングがイイかと思います

全年齢のワンちゃんに当てはまる事なのですが ワンちゃんを綺麗にするのは
■飼い主さんの理解と日頃のお手入れ
■ワンちゃん自身の頑張り(美容への協力)
  が重要です
〔トリマーの仕事〕はそこに少し助けに入る程度のものです
高齢犬の場合は特にそうですね


ホビーハウスでは犬種にもよりますが
新規さんの10歳以上は飼い主さんとワンちゃんの健康状態や体力・気性など相談してからの判断になります

残念ながらホビーハウスでも高齢によりお断りするケースはあります
●暴れて興奮して呼吸困難になる・シャンプー中ふらつく などこれ以上店では無理なケース

●痴呆症でハサミ・バリカンなど刃物に噛み付くケース
 (とっても危険で トリマーとしても もうどうしようもないです)

●前回トリミングから3ヶ月以上(個体差あり)期間が空いていてワンちゃんの健康状態が
変わってしまっている又は把握できないケース

長年来てもらっている子には私達トリマーも愛着が沸きますから
「この子に出来るだけの事をしてあげたい!」と思うわけです(^▽^)
足腰が弱って立っていられないならトリマー2人で支えながら作業します
カット中ふらついてハサミで仕上げるのが危険な場合でも
飼い主さんに了承いただければ綺麗な仕上がりが無理でもバリカンでスッキリ短くして
ワンちゃんが生活しやすいようにする事も出来ます

もちろん出来る限りの事はさせていただきます


《咳》について

このお仕事は1ヵ月に100匹以上多いときは200匹以上のワンちゃんと接して
短時間ですが同じ時間を過ごし身体全体を触りますから怪我を見つけることや
体力筋力の低下・体調異常に飼い主さんより早く気付く事もあるので
「この症状は早く病院に行ったほうがいいですよ」
なんてアドバイスさせていただく事も多いんですが
最近「美容より先に病院で診てもらった方がいいです!」のケースがあったのでここに書き記しておきますね

それは【ワンちゃんの咳】です
たかがと軽く考えている飼い主さんが多いこと多いこと
ワンちゃんの咳は人間の咳と違って重篤な病気の初期症状の可能性があります

●心臓病
 老犬はこれが原因の子が多かった 薬で症状は緩和できる
●気管虚脱
 老化的要因・肥満的要因・遺伝的要因などがあり 薬で症状はコントロール可能
●寄生虫
 日頃から予防が大切 フィラリア症の場合咳が出だしたらかなり深刻な状態カモ
●肺炎
 他の感染症も併発するカモなので早く病院へ
●各種アレルギー
 食事や生活環境が原因なのでそのままにしても治らず悪化するばかり

■ケンネルコフ
 感染症 人間の風邪と似た症状 ほとんどの場合きちんと治療すれば1週間〜半月に完治
■犬インフルエンザ
 感染症 41℃以上の高熱(犬の平熱は38℃〜39℃)
■ジステンパー
 高熱・鼻や目から濃い黄色の体液が出て最悪肺炎まで発展 命にかかわるヤバイ病気

《■の3つは混合ワクチンで予防でる感染症です
言い換えれば予防しておいた方が良いほど罹ると厄介な病気です(命にかかわったり感染力が強かったり)》

感染症の場合は周りにウイルスを撒き散らしてしまいますので完治しないとお預かりできませんし
心臓・気管が原因の場合そもそも「お風呂ダメ」とドクターストップがかかる事も
獣医さんにOKを貰っていても予約の際に一言言っていただけると助かります
途中で休憩を入れるなど様子を見ながら美容を進める為の時間配分をします

かなり脅かしましたが ただただ食べ物を引っかかってコンコン咳をしている時ももちろんあると思います が
「そういえば最近一度咳き込むと止まらない」「なんか変な音の咳をしてる」と気になったら
早めに獣医さんに行きましょう!
何もなければラッキー位の心持ちって結構大切だと最近切に思います